海辺のふかふか

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能力主義とビカイアの背骨

中学校の理科の授業で、生物の起源についての映像を見た。三葉虫アノマロカリス、太古の海を悠々と泳ぐ不思議な形の生きものたちはどれも強そうで、しかしカンブリア紀の大絶滅を生き延びたのは細長い魚のような形のビカイアだった。これが私たち哺乳類を含む、脊椎動物の祖先。ビカイアがこの危機を乗り越えたのに確たる理由はなく、偶然だったらしい(当時の記憶)。それがなんだかとても衝撃的だった。授業で習うことって、これがこうだからこう、こうだったから今はこう、というように因果関係が整理されたものばかりだったから……。

その人が得たものはその人の能力に値する、と考えるのが能力主義だけれど、脊椎動物が生き延びたことさえ偶然なのに、その人の才能やそれを評価する環境が偶然じゃないことないって気がする。背骨のない生きものが支配する地球だって、あったかもしれないんだから。